黒石寺に訪問した後は正法寺へ向かった。黒石寺より2㎞ほど登ったところにあり、こちらは日本一の大萱葺屋根で著名である。

国道の旧道との分岐に正法寺の入口がある。この一帯には小部落があり、正法寺の門前町と言ったところだろうか。

写真にもあるように正法寺は曹洞宗の寺院である。1348年、無底良韶禪師が開山したと伝わる。その頃は南北朝の対立が最も激しかった頃だ。かつては奥羽二州の本山として栄え、江戸幕府によりその格式は失うも伊達藩の加護を受けて栄えることとなる。

惣門、庫裏、鐘楼堂、法堂は国の重要文化財、小方丈、開山堂は奥州市の重要文化財となっている。


惣門の前にはお地蔵様、石碑など盛りだくさんだ。石碑はどれも古く、文久年間とされるものもあった。

惣門前の石段はきつく、人が登ることをあまり想定していないようでもある。

惣門をくぐって萱葺屋根を見に行こう。

石段を登り切った先から振り返ると上の写真のような風景となっている。


鐘楼も見える。



法堂は途轍もなく巨大だ。しかしどこか民家のような安心感さえ覚えさせられるのは不思議な感覚であった。巨大さの割には全く違和感を感じさせない。

比較する対象がないので大きさが解りづらいと思うがかなりの大きさだ。

春も近いと見えて梅の芽が赤く色づいてきている。ここの山号は大梅拈華山という洒落たものなのである。

熊野大権現堂へと続く道は、そのお堂の小ささと比べてあまりにも囃し立てられすぎている。

僧堂への入口。一般の人は立ち入れないが黒光りする巨石はこの空間に規律を与えている。

正法寺七不思議の一つ、小啼池。赤子の泣き声が聞こえてくる池らしいが池は殆ど涸れていて池と呼べるかすら確かではない。

梅の咲く季節が待ち遠しい。今は雨の滴の華が咲くのみ。

いよいよ庫裏の中に入ってみたが、内部は撮影禁止ということで写真はない。内部の展示では正法寺の歴史を知ることができる。特に良韶禪師の生い立ちの逸話は幽霊と人間のハーフだということもあってかなり奇怪だ。



萱葺屋根の寺院も良いものだ。庫裏の内部には二、三の仏像、襖絵、掛け軸が展示されている。開山堂の中には歴代住職の木造彫刻がある。

いずれも江戸末期の建築らしいがよく手入れがされていて綺麗な姿を保っている。

最後に全体を振り返ってみた。梅の季節にまた訪れたいものである。

惣門を出るとすぐある小橋。曖昧なる黄昏を迎えようとしている曇天だ。
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