このお話はノンフィクションです。 私が大学受験のために東京へ旅立ったのは二月の末のことであった。日差しの降り注ぐ中目覚めたのだった。今から自分の運命が多少なりとも決定付けられてしまうと思うと緊張よりも滑稽さが頭を支配続きを読む “東大を受けてみた 1”
投稿者アーカイブ:yonekura53
五月の天台寺(浄法寺)
私の頭の中ではシューマンの詩人の恋の一曲目が絶え間なく流れていた。盛岡から列車に乗っていると初夏の空気がドアの隙間から細く流れてくる。美しい五月には、この言葉が正に似つかわしい日だった、私は物思いに沈んでいた。一年以上続きを読む “五月の天台寺(浄法寺)”
トロンボーンと惑星
皆さんはホルストの惑星を聴くとき何を主として聴いていますか?まああの曲の醍醐味と言えば近代オーケストラをさらに拡張して得られる音響を目いっぱい使って得られる迫力と惑星の持つ深遠さに身を浸すことでしょうね。各惑星があれほど続きを読む “トロンボーンと惑星”
橋本國彦の交響曲 3
さて今回は交響曲第二番を紹介する。リンクの演奏は湯浅卓雄指揮、東京藝大フィルの演奏である。初演は日本国憲法の制定のための祝賀会においてなされた。それ以来眠っていたこの曲は1996年に新交響楽団により再演されたらしい。再演続きを読む “橋本國彦の交響曲 3”
橋本國彦の交響曲 2
交響曲第一番は橋本の壮年の野心で満ち溢れている。第一楽章の冒頭は静謐さに支配される。雅楽を感じさせる旋律や和声も相まってそこは国生みの世界のようだ。神話的という言葉がよく似合う。山田耕筰の明治頌歌のように明確な標題が無い続きを読む “橋本國彦の交響曲 2”
橋本國彦の交響曲 1
橋本國彦は1904年に生まれ1949年に没した東京の作曲家だ。可憐な歌曲であるお菓子と娘などを除いてほとんど忘れ去られていたが近年のナクソスレーベルの活動、オーケストラニッポニカや新交響楽団といったアマオケの活動で徐々に続きを読む “橋本國彦の交響曲 1”