滝観洞訪問

 昨年、春に住田町の滝観洞を訪問してきた。最寄り駅の上有住駅からの訪問になった。6時1分発の盛岡始発、釜石線直通の普通列車で行く。

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上有住駅構内、近年まで貨物扱いをしていた

 上有住駅へ到着。電池が少なかったこともあって撮影は最小限に止めた。帰路には多く写真を撮ったので写真の時系列と実際の行動が逆になっているがお気になさらないよう。

 このように駅の敷地は割合広く取られているのだが往年の栄光は失せ、列車がまれに停まる山間の淋しい駅となっている。なんでも平成5年まではここから石灰を運ぶ専用線が伸びていたようで上有住駅長もいたとのこと。現在では岩手県の石灰輸送列車は岩手開発鉄道のもののみとなっている。既に廃止されたが、山田線の大志田駅もこのような雰囲気であったと記憶する。

 駅の敷地から降りて滝観洞の表示に従ってゆくとレストハウスがありそこで古老たちが朝も早いというのに談笑していた。ここでお金を払ってヘルメット、カッパ、長靴を装備し、洞窟へ入る。

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アンモナイトの化石モドキ

 このように天井の低い中を進んでゆく。路面はコンクリートで整えられているが岩盤が迫り出していたり天井が極端に低くなったりなど障壁も多い。ヘルメットを被っていたから良いものの私は頭を何度も天井にぶつけたものだ。

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珊瑚の化石

 洞穴サンゴらしい。素人目には全く分からない。

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赤い乳房

 見事な形である。自然の作用でこうなったと言うことは俄には信じがたい。昔の人の名付け方はあまりにも直接的で一切の恥じらいが無いところが清清しい。

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八つ墓村関連

 八つ墓村の撮影スポット。岩手の山中まで映画の撮影で訪れていたらしい。 ここで滝観洞の説明。滝観洞は総延長が3635m、そのうち観光できるのは880mとなっている。観光洞の奥地には天の岩屋戸の大滝と呼ばれる落差60m、周囲50mの日本で3番目の規模の滝がある。滝観洞は大理石中にある鍾乳洞だが比較的新しく、石筍やつらら石は発展していない。そのため龍泉洞や安家洞のように見所が多いわけではない。近くには白蓮洞と呼ばれる洞窟があったが東日本大震災以降不通となったまま復旧がされていない。白蓮洞の名は柳原白蓮に由来する。

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跫音が響く

 このように時折天井は高くなり大回廊を形成する。

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天井が低いので頭をぶつけてしまう

 名前が面白かったので撮ってみた。流路はしばしば変更されるようでこのように段丘のような場所や水が流れそうもないところに空いた穴などが見られる。

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ろうそく岩

 時折このような大岩が道を塞いでいる。落盤したのだろうか。このような岩が降ってくる事態には遭遇したくないものだ。

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水面が近い


 もう半分ほどは来たところだと思うがこのように綺麗な洞内が広がっている。水面に反響するライトは気持ちの良いものだ。水は綺麗で微塵の濁りも見られない。

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ジャケットになりそうな風景

 ここで長靴が役に立った。少し前に大雨が降ったからかも知れないが水が通路を流れてゆく。

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風が吹き荒れる

 上り坂である。全体として登坂は少ない鍾乳洞だがそれでも入り口付近、そして上流が近付くにつれ高低差は激しくなる。

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水の透明感は類を見ない


 橋である。この辺りになってくるとこの奥に小滝と天の岩屋戸の大滝がある関係で常に洞内は轟音で満たされ1人で入ると恐怖を覚えるくらいだ。風も常に吹いていて掛け看板が揺れている。

 写真では分かりづらいと思うが滝が近付くにつれ天井が低くなる傾向がある。勿論滝のあるところは広いがその前後は水面との距離も近く、むしろ半ば通路が冠水しているところもあるが、その速い流れに吸い込まれそうになる。路盤は滑りやすく、足を踏み間違えないよう注意したいところだ。

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小滝

 画像では滝と呼んで良いのか分からないほど小さく見えるが実際見るとそれほど小さくない。

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観音像

 小滝と天の岩屋戸の大滝との間には観音様がいらっしゃる。金属の成分が溶け出し足下にはその養分で生活していると思われる藻が映えていて洞窟の環境を悪化させる要因となっていそうだが、しかし洞内の安全を願ってここまで運び入れた先人の労苦や昼夜を問わず轟音に晒され続ける観音様を思うと頭が下がる思いである。

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洞内は益々奇怪


 この奥に滝があるのだがこの隙間から吹き抜ける風は途轍もない。足下の流れも水深がありそうだ。

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計り知れないほど高い
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解説
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いいカメラだったら良い写真が撮れたかもしれない

 当然のことながら60mの上部まで見渡せるわけではないが、水面に打ち付けられる塊は飛沫を上げて私の所まで迫ってくる。洞内の滝は得体の知れない魔物を身に纏い、そこに長くいることを拒絶するようだ。風と共に飛沫が洞内に横溢し、滝はこの空間すべてを支配する。 実際あまり長くいられなかった私は時間もそれなりにあったので写真を撮りながら帰った。受付のおばさんは気さくな方でこの洞窟についてさまざま教えてくださった。 この後私は遠野駅へ戻り、そこから快速はまゆりにて釜石へ、そして三陸鉄道南リアス線を経由して盛(ここで相席したご夫婦は下ネタがお好きなようであった)、大船渡線BRTに乗って気仙沼、気仙沼探訪の後大船渡線にて一関、そこから盛岡へ戻ったのであった。滝観洞以降の旅程も非常に見所があったのだが充電の少なさを超克できず写真は一枚もない。

投稿者: yonekura53

こんにちは、米倉と申します。海老名鰹だしとも申します。クラシック音楽と旅行好きの大学生です。

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